石井紘基の業績

 

石井紘基議員の最大の業績は国家財政の隠された闇、つまり一般会計の裏に隠された特別会計の実態を国民の目に明らかにしたことです。2001年(平成13年)の国会で石井議員が麻生太郎大臣と宮澤喜一大臣に国家予算の規模を質問したところ、麻生大臣の答えは「81兆円」でした。81兆円は一般会計の予算額であり、特別会計は含まれません。宮澤大臣の答えは「これから調べる」で、本当に知らなかったのか、答えをはぐらかしたのかは不明ですが、おそらくその両方でしょう。そこで石井議員は「217兆円」と主張しました。当時の議事録がこちらにあります→国民の目から隠されていた日本の国家予算

では、特別予算とはどのようなものなのでしょう?もっとも明快な説明が石井議員暗殺の翌年、2003年の塩川正十郎財務大臣による国会答弁です。塩川議員は一般会計を「母屋」、特別会計を「離れ」に例えて、「母屋ではおかゆ食って辛抱しようとけちけち節約しておるのに、離れ座敷で子供がすき焼き食っておる」と発言しました。つまり国家予算が国民の目から隠され、裏では政府関係者が税金を使い放題していることを公(おおやけ)に認めたことになります。石井議員を暗殺した組織は政府すらコントロールする立場の人間です。とすると政府や自民党は加害者でありながら、同時に被害者の面もあります。たとえば安倍総理の森友事件では公文書を改ざんした近畿財務局の赤木俊夫氏が自殺をしましたが、自殺を装った口封じかもしれません。いずれにせよ彼は被害者です。塩川議員は石井議員を暗殺した組織に対して抗議の意味を込めて、政府による税金の私物化を認めたのだろうと推測します。また、それまで隠されていた特別会計の詳細ですが、財務省は石井議員の死後から数字を公表するようになりました→特別会計の公表

では、特別会計はそれまでどの程度隠されていたのか?本当に誰もその実態を知らなかったのか?その点については東京大学教授の安富歩(やすとみあゆみ)氏の言葉が参考になるでしょう。経済学者である安富教授は石井議員を「戦後日本が産んだ最大の財政学者」と評価しています。

「経済学の船出」という本を書いたときに、日本の財政構造について調べたんです。いろんな財政学の本を読んだんですけど、何が何だか分かんない。ちんぷんかんぷんで。で、いろんな本を調べているときに、石井紘基という人の書いた「日本が自滅する日」という本を見てですね、そこに、どのように官僚システムが日本の財政を食い物にしてるかということをきちんと実証的に(書いていた)。石井紘基さんという方はモスクワ大学で博士号を取られた方で、その後国会議員になっていて、今から13年くらい前に自宅で暗殺された方なんですけれども。そのことを知らずにその本を読んでいて、本当に素晴らしい研究者だなあと思って見たら、暗殺された国会議員だったので本当に驚いたんですが。

彼が特に注目したのが特別会計という仕組みでした。それは戦争中に、普通の一般会計で長期にわたる戦争を処理できないので設けられ始めた勘定なんですけれども。それは満州国ではものすごくよく使われていた。わたしは満州国の研究をしていたので知ってたんですが。その、一般会計のほかに、一般会計というのは一年単位なので、それにそぐわないものを特別会計として処理するっていう仕組みができて、その仕組みがですね、国民の税金や、様々な形で、権力に近い人たちに配分する仕組みに使われているっていうのが、石井紘基の主張でした。

で、その内容はですね、実は本当に複雑怪奇で、あっちから出してこっちへ入れて、こっちから出してあっちへ入れてみたいな操作がたくさん行われていて、石井紘基が、宮澤(喜一)総理大臣に、「日本の財政規模は、一般会計と特別会計合わせていくらなんですか」という質問に対して「分からない」という答えを宮澤さんはしていました。だからその、総額がいくらなのかとか、相殺される部門をキャンセルして一体いくらが本当の予算なのか、よくわからない仕組みになっています。で、その、現在の財務省とかの主張によれば、その全体はほとんどがキャンセルされて、実際の規模は数兆円しかないんだと。という風にホームページには書かれてるんですけど、それが本当にそうなのかということは誰も検証していない。

それ以上に、これは石井紘基が予言したことなんですけど、例えば、高速道路公団は、2000年くらいの段階で、10数兆円の借金があったんですね。で、その借金を、毎年わたしたちの高速代でちょっとずつ返していくっていう仕組みになってるんですが、その会社が非常に汚染されていると。多数の子会社を持っていて、多くの業務がその子会社にばらまかれていて、その子会社に役人が天下ってるんだということを石井紘基は指摘していたんですけれども、その、民営化ということによってそれをなくそうという動きがあることを彼は強く反対していていて、なんでかっていうと、民営化してしまうと国政調査権が及ばないんですね。そうすると、どんなに調べようと思っても調べられなくなってしまう。だから、表面的な民営化っていうのはますます、国民の財産が国民の手から離れていくことになると言って反対していましたが、実際に民営化されました。

高速道路公団は、NEXCOっていう、NEXCO西日本とか北日本とかいろいろ変わっていて、今も続いてますけども、その10数兆円の借金は、清算財団というのが作られて、そこだけがわたしたちの国勢調査権が及ぶ範囲になっている。そして、それぞれの子会社であるNEXCOは、多分、持ち株はほとんどが日本国が持っているはずなんですけども、一応体裁として民間企業になっちゃったので、そこには国政調査権が及ばないんです。なので、そこで何が行われているかはもう国民の目からは見えないんです。そのようにして、特殊法人とかを改革すると称して、ますます国民の目から、国民の財産が見えないところで奪われていくんだという予言を石井紘基はしていましたが、それはほぼ事実になっています。

そういう意味で、単に特別会計だけではなく、その背後に、どうやってそれがうまくごまかされいるのかが見えないんですよね。そのことの全体像を私は知りたいと思っています。それは単に告発するとか摘発するということではなくて、自民党の政治家も何がどうなってるか分からないんですね。分かんないものを放置することはできないじゃないですか。ですからそのことを、私は全ての政治家や国民に役に立つように研究したいと思っています。

藤原ちえこ オフィシャルブログより

東京大学の経済学者が日本の財政構造についてちんぷんかんぷんだったとしたら、日本中で特別会計の実態を把握していた人は存在しないか、いたとしても一握りだったでしょう。日本の国家予算はその実態が分からないようにわざと複雑に作られています。日本におそらく1000人以上はいるだろう経済学者の誰も実態を知らず、またおそらく政府内部の人間すら把握していないだろう複雑怪奇な騙しのシステム、国家レベルの詐欺を石井紘基は法哲学博士の頭脳と国会議員の国政調査権を駆使して調べ上げました。それが石井紘基の最大の業績です。

経済予測を行う者には2種類いる。それは何もわかっていない者と、自分が何もわかっていないことすら知らない者だ。

経済学は、経済学者に雇用を提供するという観点では極めて有用である。

     ジョン・ケネス・ガルブレイス

ただ、この騙しのシステムを終わらせることはとても困難なことで、いずれ破綻することは目に見えていても、今は日本人のほとんどがそこから何らかの恩恵を受けている。そしてそのためになかなか終わらせることができない。そういったからくりを俯瞰的に説明しているのが安富教授の以下のビデオです。

【内容要旨】

殺された石井紘基議員は、「日本の財政のお金がどこに流れているのか」ということを調べていた。そのことを調べた人は他にいない。その石井議員が宮沢財務相(当時)に国会で「日本の財政の総額はいくらか?」と聞いたことがあるが、事前に質問を提出していたにも関わらず、答えられなかった。日本の財政はあまりにも複雑怪奇になっていて、財務大臣ですら総額が分からないという状態だった。

石井議員が明らかにしたことは「一般会計は見せかけで、日本の財政の大半は特別会計に流れている」ということ。特別会計とは、税収以外の財源による、一般会計とは別の財布のこと。政府の巨大な事業は殆ど特別会計でやっている。一般会計では予算を削って削って、慎ましくやっていても、特別会計では何十兆円というカネが流れていたりする。

石井紘基議員の調べでは、かつての高速道路公団(現NEXCO)には、特別会計から18兆円、住宅公団には32兆円のカネが流れていた。住宅公団(特殊法人)の下には三千社ぐらい子会社があり、この32兆円を出資している。更に孫会社もたくさんあり、これらはほぼ民間企業になるので、政府に何も報告しなくていい(会計検査院のチェックが入らない)のだが、流れているカネは特別会計からの政府のカネ。

なんで特殊法人の下に三千社も子会社があるのかというと、天下り先の確保のため。つまり、この三千社の子会社は、特殊法人からの天下りが経営していて、特殊法人から降りてきたのカネから利益を抜いて、仕事は民間の会社に丸投げする…それだけのためにある。つまり、ピンハネ子会社が三千社ある。

こうしたことを調べ続けていて、石井紘基氏はある日自宅前で暗殺された。もし民主党に政権交代した時に石井議員がいたらどうなっていただろうか?石井議員は「日本のGDPのうち、6割はこうした形で吸い取られていて、まともな経済は4割しかない。これで国が保つわけはない」と言っていた。

特別会計の財源は、借金以外では我々の生活に必要な公共料金など(電気代、ガス代…etc.)に乗っかっている。そしてこういう形でカネがどんどん中抜されていくので、例えば原発の実際の建設費などは、元の特別会計から出たカネの1/10ぐらいしか残らない。こうしたことは直接我々の健康や命に関わってくる。

しかし、このシステムは今は完全に破綻している。国の借金が色んな形で総額2000兆円ぐらいになってるから。…こうした問題をなくすのは実は単純で、特別会計をなくし、特殊法人を全て潰せばいい。しかし、日本社会の全てはこのシステムの中に取り込まれている。皆さん(学生)が大学に通えるのも、このシステムのおこぼれが回っていってるから。このシステムを潰すのが難しいのは、全国民が多少はこのシステムの恩恵を受けているから。だから止めることが難しくなっている。

民主党政権になった時に、多少はこのシステムを止める方向に政策がとられた。すると、全国民が少しずつ困る。だから「大いに困るシステムの中枢にいる人」が、まず政権交代の前に小沢氏がスキャンダルをでっち上げて失脚させた。(結局は無罪)鳩山さんはアメリカの基地の問題で失脚。結局このシステムが止まるとみんなが困るから、自民党に戻すことになった。しかし、一度止めようとしたことで状況は悪化し、今は大変な状態になっている。

バブルが崩壊するまではこのシステムは順調に動いていた。しかし崩壊後機能しなくなったのに、システムだけが残り、借金が積み上がっていくという状態が25年ほど続いている。

今、このシステムの崩壊を必死で食い止めようとしているが、実際には「すでに崩壊していることを必死で隠蔽している」と言った方がいいだろう。石井議員は「そんなことをしていては問題の先送りで、ソフト・ランディングできなくなる。早めに別のシステムに切り替えた方がいい」と主張したわけだが、結果的に殺されてしまった。

システムはいつか崩壊する。そのための備えは、「システムに依存しないで生きる」ことだと思う。皆さん(東大生)はシステムの中枢に入る資格がある人で、その流れに乗れば高い給料や、それなりの社会的地位が手に入ると思う。システムの中枢の中にいながら、システムの流れとは違うことをやろうすると、ものすごい抵抗、軋轢が生じるだろう。そのためにはものすごい勇気と、知恵と、自分を支えてくれる人が必要。石井紘基議員はたったひとりで、徒手空拳でそれをやったわけだが、もし10人が同じようにやったら、大きな力になるだろう。

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